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幼稚園の理事会の現場より ~勝ち組は未来への準備を怠らない~

20200530

今日は、東京にある幼稚園の理事会に参加してきました
なぜ理事会に参加したのか?
私がその幼稚園の監事を担っているからです

約15年前くらい、私が20代の頃からお付き合いのある幼稚園で、
その当時は経営コンサルタントとしてお手伝いしていましたが、
時が流れて現在は法人の監事としてサポートしています

任期4年でしたが、また4年任期更新となりました

私が監事として関わる前・・・けっこう財務的に厳しい時代があったようで
現預金で3000万円程度しかなかった時代も
それにはいろいろな理由があるのですが、そこから改革を図り、浮き沈みは
ありながらも業績を回復させて、地域における園のブランディングにも成功して
ここ数年は園児数の定員も充足状態で、現預金も1億円まで回復

土地の購入と園舎の耐震工事のために約8年前に1.6億円の借入をしましたが、
その借入金も順調に返済が進み、現時点で残り5500万円となったので、
あと5年で完済となります

やはり、資金的に余力がないと、より飛躍するためのハード&ソフトへの
投資が思うようにできず、ジリ貧になっていきますからね~
勝ち組と負け組の大きな分岐点にもなりますよね

コンサルタントとしてサポートしていたときに、先代のカリスマ園長(現園長の母親)
教育への思いや考え方を私がインタビューしながら整理して一冊の本にするという
プロジェクトがあったのですが、自分にとってもそれは貴重な体験でした

心や思いはその人がいなくなると消えてしまう。
だからこそ、未来に残すために見える化しておく。

その先代園長は先日亡くなってしまいましたが・・・
その思いや考え方が今もその園の1つの大切な価値観として働く先生たちや
保護者の方々に受け継がれています

その先代園長の言葉で自分にとってとても印象に残っている言葉は、

『親子共育ち』

子どもも親も一緒に成長していきましょう!!という考え方に基づいて
この園が歴史を刻んできたわけです。だから親の協力体制が素晴らしい。
このご時世、多くの幼稚園においてあまり関わりたくないという親が多いのは
事実ですが、教育施設としてのあるべき姿は、やはり『親子共育ち』だと
自分は強く思っています

子育てに積極的に関わり、しっかり向き合う中で親としてのあるべき姿
に近づいていけると先代の園長から20代の頃に教わった
ことを思い出します。

こんな機会ですから、少しだけ幼稚園の財務指標としてチェックしておきたい項目
以下にあげておこうと思います。一応、専門コンサルタントなので

事業活動収支差額比率
 これは、基本金組入前当年度収支差額÷事業活動収入で算出されます。
 一般的な会社で言えば、会社の利益率ですね。
 基本的には、5%以上あればOKとされ、10%以上だとかなりよいですね。

学生生徒等納付金比率
 これは、学生生徒等納付金÷教育活動収入で算出されます。
 基本的には、50%を目安として50%以下になるとよいですね。

人件費比率
 これは、人件費÷教育活動収入で算出されます。
 基本的には、50%を目安として50%以下になるとよいですね。
 個人的には、学生生徒等納付金と人件費が同じ程度だとよいですねとも伝えています。

教育研究経費比率
 これは、教育研修経費÷教育活動収入で算出されます。
 基本的には、25%~30%程度が標準値の目安となります。

管理経費比率
 これは、管理経費÷教育活動収入で算出されます。
 基本的には、10%~15%程度が標準値の目安となります。

このブログをお読みいただいている幼稚園経営者の方は自園データと照らし合わせて
参考にしてみてください。

但し、最近は認定こども園化や施設給付型の園への移行ケースも多いので
上記がすべてのケースの標準パターンと定義するのは難しくなっていることも
ご考慮下さい。

まあ、法人運営を長期スパンで考えたときにどうしても園舎や施設は老朽化
しますから、建て替えタイミングが到来します。
その際にある程度の建て替え資金を計画的に積み立てていく運用モデル
構築していかないと・・・ということですよね。

これからは、日々の運営で精一杯で・・・
建て替え資金がまったく確保できずに閉園というパターンも多くなるだろうと
予想しています

この園は小学部(学童)も運営していて、小学1年生~4年生のクラスがあるので
そこからも収入構造を作り出せています。
ということで、現理事長・園長もしっかり勉強されて、時流適応しているからこそ、
今の順調な経営実態があるも事実です。

この園が昔から大切にしているコンセプトは・・・

『未来を切り開く力を育てる』

もちろん、そんな子ども達を育てる教育現場として、このコロナウィルスの
緊急事態の中で、未来を切り開いていく力が自分達(園自体)にも求められていると
園長が話していました。

そして、『コロナウィルスの影響下でどんな取り組みを?』
という理事からの質問に対しては・・・

・4月中旬から園専用の動画サイトを立ち上げて毎日動画を配信
 (保護者がサイト制作や動画編集などをサポート)
・アフターコロナで保育再開する上での園独自のガイドラインの作成
・先生用のマウスシールドの購入
 (歌を歌うとか言葉を教える際に通常のマスクでは口の動き等がわからず
教育的に効果が下がってしまうことを避けるための工夫)
・全クラスに空気清浄機の設置
・ホールとトイレの壁にコロナ対策の抗菌塗料
手洗い指導の再徹底
・喘息なども持病に持つ子(2名在園)は、コロナ感染重篤化の恐れがあるので
 登園できないが、その子に対するオンライン授業の開発

 などなど

その他、コロナ対策以外にも今後のリクルート活動に対する新しい考え方と
そのための体制づくり、音楽教育のレベルアップ(年長までに楽譜が読める子にする)
などについても話がありました
今年度の各種行事などへの対応策についてもほとんどすでに決まっている
ということです。

先々代、先代から引き継がれた、幼児教育に対する思いや責任感はしっかりと
現代の園長までつながっているんだなと感じましたね

その話を聞きながら、思ったことは・・・

『勝ち組は、常に未来を切り開く準備を怠っていないし、
 そのためにいつもトップやリーダーが前向きに舵取りを行っているということ』

ですね。

同じ質問をしても、ここまで具体的に明確に回答できるトップとそうでない
トップがいます。そこであらためて思うことは・・・

『組織はトップで99%決まる』ということ。

理事会の現場において、緊急事態の中でフリーズしているのではなく、
未来を切り開く一歩のために臨機応変に考えて正しく前向きに前進することが
大切だと感じました。

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