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不確かな自己肯定感と仮想的有能感 ~子ども達若者たちの現実~

20201210

昨日、自己有能感&自己肯定感に関する内容でブログを書きましたが・・・
有能感にも本物と偽物があると考えています

ちゃんとした本物の自己有能感を手に入れている人はチャレンジスピリット
も高く、内発的動機付けができるので、主体的に人生を切り開いていくこと
ができると思うのですが、偽物の有能感で自分を誤魔化しているだけの人
そうならないわけで

それが今の子ども達や若い人たちの中でごちゃまぜになってしまっている
のかなと思っています

そこで自分がとても共感していて今の子ども達や若い人たちの生活環境を
的確に表現しているなと思う文章をご紹介しますね。

★若者の変化を捉える★ 

~子どもたちや若者のコミュニケーションのあり方の劇的変化~

『最近の子どもたちは、親しい友達など”親密圏”の人間関係に異様なほど配慮し合い、
その傷つきやすい人間関係をマネジメントしていくことに何よりも優先性を認め、
莫大なエネルギーを注ぎ込んでいる一方で、親密圏の外部、つまり公共圏にいる
人間に対してはほとんど無関心
になっている』

『この親密圏の中の営みをこなすのに最も必要な能力が、コミュニケーション能力である。
仲間や友達の中での序列づけも勉強やスポーツが得意か否かによってではなく、
友達と一緒にいる場を盛り上げ、その関係をうまく転がしていけるような
コミュニケーション能力の高低によって決まっている。
その意味でコミュニケーション能力こそが、自己肯定感の基礎になっているともいえる

『最近の子どもたちは、自らの生理的な感覚や内発的な衝動を重視するため、
自己肯定感に持続的な安定性を見出すことが困難になっています。
社会的な根拠によって支えられた肯定感ではないので、あいまいな気分や雰囲気
によって容易に揺れ動いてしまうのです。
したがって、彼らは、この不確かな自己肯定感を支えるために、身近な他者からの
強力なサポートを必要とするようになっています。
親密圏内の他者から自己承認を絶えず与えてもらうことによってしか、
自己肯定感の安定性を保つことができなくなっているのです。』

『自分らしさの確信を得ることができないのは、たとえ錯覚かもしれないにしても、
身近な他者からの自己承認によってのみです。
今の若者は「社会化に対するリアリティ」を失い「まなざしを内閉化」した結果、
自己の肯定感がきわめて不安定
になっています。
また、自己の肯定感を親密圏の他者から承認によって担保しているため、
それがなくなったときに、大きな不安感にさいなまれることになります。』

『自己肯定感が不安定な若者が多い一方で、根拠なく他者を蔑視することで有能感、
自己肯定感を得ている若者
もいます。彼らは、勝手に他者の能力を軽視することで
偽りのプライド、すなわち”仮想的有能感”を抱いて行動するのである。
仮想的有能感の高い人は、何よりも自分が弱い存在だと思われたくない。
例えば、学業成績が悪い、運動競技に負けたという現実があっても、
率直に自分の能力や努力の足りなさを認めるというよりは、先生の指導が悪かったとか、
競技場のコンディションが悪かったと自分以外の要因に帰し、自己責任を回避するもの
と考えられる。これをいわゆる「他責思考」と言う。』

現代は、公共圏を通らなくてもどこへでも行けるようになっている。
現在のようなネット環境が整う以前、時間と空間を隔てた相手とコミュニケーションを
とるための手段は限られていました。
ガールフレンドの自宅へ電話をかけるときに父親がでたらどうしよう・・・といった
緊張感など、意中の相手とつながりあうためには、自分にとって不都合な人間との
コミュニケーションも途中で経由しなければなりませんでした。
しかし、今は広大なネット空間へ開かれたケータイの小さな窓を覗き込むことで、
面倒で不都合な人間とはいっさい触れ合うことなく、自分にとって心地よい相手だけと、
即座に人間関係を築くことができる
。』

とまあ、長くだらだらと書いてしまいましたが・・・
上記の内容は、社会学者の土井隆義氏、教育心理学者の速水敏彦氏の著書から
抜粋したメッセージ
です

いや~本当にその通りだな!!と共感してしまいます。

最近だと親密圏がリアルとバーチャルの世界になってきていて
facebook、インスタグラムなどのSNSなどは、まさにバーチャル親密圏なのかなと
思っています。だって、実際に会ったことない人も多いでしょうからね

その中で、励まし合ったり、褒め合ったりすることによって、いいねの数で
自分の存在価値を図っている??
 そんなことで自己肯定感を維持している
人が多いということでしょうか??
(もちろんそれだけではないとは思いますが・・・)

確かに自己肯定感が不安定な若い人が多いことは実感しています。
コンサルティング現場やプライベートでも自分より10歳も20歳も若い人と話す機会は
多いのですが、とにかく自分に自信がない人が多いですね。

また、それとは逆に、根拠のない”仮想的有能感”を抱いた勘違いちゃん?
も多いですね
自分の経験上、そういう人間は、完全に誰が見ても本人が非があるときでさえ
”素直に謝ることができない人”が多いです

そして、とにかく自分のせいではないことを必死に説明しようと頑張る
残念ながら一番成長しない人の特徴です。

その態度、行為こそが一番嫌われるということを、全く理解していない
すぐに非を認め、謝罪をして、次に同じミスを起こさないように
行動改善することが、人に好かれるポイント
だと知らないんですよね
自分がサラリーマン時代、そういう部下や後輩もいましたが、
残念ながら成長しない人の典型でした

これを『リカバリーフォーカスの精神』と言ったりします

ミスを挽回するにはどうしたらいいのか?
とスイッチをすぐに切り替えて次の一歩を踏み出せるかが大切ということ。

携帯やインターネットやSNSなどのコミュニケーションツールが進化して
便利になったことで公共圏とはほとんど関わりを持たなくても、
コミュニケーションがとれるようになりました

親密圏だけで過ごしていれば自分にとって関わりやすい、
好都合で心地よい人間だけと関係構築をすれば、
それで生きていけてしまう環境が手に入れられる世の中になっている。

しかし、社会に出れば、理不尽な人、面倒な人、やっかいな人・・・
いわゆる、公共圏は否応なしにやってくるものです

そこに対する準備や耐性ができていない、もしくはその感覚が備わっていない
多くの若者が、今までうまく逃げてこられたものに直面した時、
そのギャップやストレスを乗り越えられないでフェードアウト
というのが今、多くの組織や会社で起こっている現象なのかもしれませんね

なんとも皮肉なことに・・・

便利になったコミュニケーションツールが、人間が生きていく上で
そして、自己肯定感を高めていく上で必要なコミュニケーション能力を
身につける足かせになっている!!


ということなのかもしれません。 う~ん悩ましいですね

若いうちに、「痛みをともなう社会体験」をしていない人間が増えている。
これ大きな問題だと思っています。
だって、社会にでたら当然様々な痛みがありますから

生きる力をつける上で必要である「痛みをともなう社会体験」を
まわりの大人や親がよかれと思ってその都度排除してしまうことによって、
子どもが生きる力をつける機会を奪っている
ことに気づかないといけないですよね。
いわゆる、”過保護” ”お膳立て”をしすぎることは、子ども達や学生が社会に出ていく
前の準備として必要なプチトレーニングの機会を奪ってしまう
ということではないでしょうか。

ただ、そんなことを言っても、世の中で起こっているトレンドは
昔に戻らないし、どんどん進んでいくわけですから・・・
そのような若者をどのようにマネジメントするか、成長させていくかを考えるのが
経営者や教育者、総じて大人たちの役割になっているということでしょう

『馬鹿とはさみは使いよう』

という言葉がありますが、便利なツールも使い方に気を付ければ素晴らしい
効力を発揮するし、使い方を間違えれば、怪我をしたり、トラブルが起きたり・・・

そういう意味では、いろいろなモノゴトの本質を見極めて、いつの間にか
それに振り回されている自分にならないようにすることが大切
なんだと思いますね

今日は、昨日の続きのような感じで、本物の有能感と仮想的で偽物の有能感
について子ども達と若者の現況を踏まえて書いてみました。

お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。


 

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