育てる(ティーチング)と育つ(コーチング)のバランス ~ビジョンマネジメントと環境プロデュース力~
- 2025.01.23
- MESSAGE園トータルサポートCONSULTING
氷山理論 ビジョンマネジメント ティーチングとコーチング 環境プロデュース力 育てると育つ
昨日のコンサルティングは、幼稚園の園長&副園長先生と次年度に向けて、あらためて、法人の理念やビジョンや教育方針などを整理整頓、洗練させていくというテーマに対しての意見交換&アドバイス。
自分自身のコンサルティングスタンスとしては、小手先のテクニック論ではなくできれば本質的で根源的な部分から組織全体を強化していくことを重視しています。
そのためのベースとなる考え方が著書にも書いてある
『ビジョンマネジメント』というもの。
昨日も、この『氷山理論』をベースに話を進めたわけですが、私が組織の成長戦略のベースとしている理論の1つになります。
『見える部分を通じて、組織の理念やビジョンを感じとる』
それが、利用者が無意識にしていること。
『大切にしていることが、現場第一線でカタチ(行動)になっているか』
そのレベル差が評価や信頼の差になっている。それが日々あらゆる現場で起きていること。
まずは、それを経営陣が理解することが大事であり、そして現場の社員やスタッフがその担い手として自覚と責任を持って日々の活動や仕事をしているかがその他競争相手との差別化の大きなポイントになります。
ということで、昨日は、その根幹を成す理念・ビジョン・教育方針をまずはあたらめて、見つめ直していく時間をとりました。創業者でない場合、かつて決められた文言を踏襲したまま、ブラッシュアップもせずそのまま活用し続けているケースは多い。
別にそれが悪いとは言いませんが、踏襲した後継者と言われる人たちは、そのフレーズは自分自身が熟考して生み出したフレーズでもなければ思いでもない場合が多い。それを説明することはできるが、本当に強い思いがそこに付加されたメッセージになっているか?と言えばそこまででもないケースがあり、そんな相談をされることもしばしば。
故に、後継者育成のサポートの場面では、
『何を残し、何を変えて、そして何を加えるのか』
そこを真剣に考える時間やステージを自分に課す必要がある。
とお伝えしています。別に昔から伝わっているものをそのまま使い続けても大きな問題が生じることはないので、上記の時間がちゃんととれていないパターンは多いように感じています。なんとなくそのままでいいか精神。
でも、そんな人が語る言葉には自分の魂が入っていないので、伝播力や説得力が弱いのです。自分の思いを言語化して、思いを馳せながら、社員やスタッフに語れる準備、そしてお客様に語れる準備を怠っているなと感じる人や組織は多いなとコンサル現場ではよく感じています。
ましては、世の中は常に変化しているので、その時流適応性の中で、組織の方向性や大切にすることも適正変化していく必要がありますからね。
昨日、そんなことをあらためてシェアする中で副園長からこんな問いがありました。
『育てると育つ』
『雑賀さんはどちらが大切だと思いますか?』
”育てる”は子ども達を育てるための手取り足取り教えてあげるというスタンス。
”育つ”は子ども達が自分自身で育つ環境を整えてあげて見守っていくというスタンス。
『どちらも大切であり、バランスが重要ではないでしょうか。』
というのが私の回答。
更に本質的なことを言うと、
『トップがその方針やスタイルに本当に信念を持ってやっているか』のほうがもっと大切。
とプラスαのメッセージをお伝えしました。
方針の軸があいまいだったり、明確に定まっていないと、まわりの園がやっているからとか、世の中の流行がこうだからという要素に振り回されることになる。教育に100%絶対というものはないと思うので、だからこそ、自分が信念を持ってこれだ!!と思えるスタンスを明確にすることが必要だと思いますね。
もちろん、そのスタンスを明確にする大前提として、今までの幼児教育の歴史や世の中の今のトレンドや、今の子ども達が20年後に未来に活躍できる人材になるために今必要なことは?という視点で自分たちのスタンスを熟考していく必要があります。そしてあらゆる学びを深める時間も必要です。
だからこそ、簡単に出せる回答でもないはずです。
上記の『育てると育つ』という概念を違うフレーズで解説しようとするならば、
『ティーチングとコーチングの使い分け』
ということになろうかと思います。
個人的に、教育や育成の重点ポイントは、まさにティーチングフェーズとコーチングフェーズの意識と使い分けだと考えています。だから上記の回答としてお伝えしたのが「バランス」なんですよね。
よくないのは、どちかに偏り過ぎてしまうこと。更によくないのは、偏り過ぎていることを客観視できず、逆のスタンスの人たちを否定してしまうこと。
〇〇派、××派とか言って、互いに否定し合っている人達を見ることはありますが、逆を否定することで自分たちを肯定するというやり方はあまり本質的ではないよな~と感じてしまいます。
昨日の園の歴史背景からすると、ティーチング(育てる)というスタンスをメインで幼児教育プログラムやオペレーションを展開してきたわけです。ですから、キャリアハイの先生達はその感覚が身についている。しかし、副園長としては、今の世の中の現況とこれからの未来環境を見据えて、育つ環境を提供して、子ども達自身が自分で考えて何かを生みだしていけるような力をつけていってほしいという思いがある。
故に、歴史背景を大切にしながらも、そのスタンスのシフトチェンジを段階的に図っていきたいという思いがある。そしてプラスαの情報としてお伝えいただいたのが、キャリアハイの先生達が外部研修に参加した反応として、育つスタンスも大切だよねという思考に少しずつ変わってきている兆しを感じているということ。
実は日々の忙しさの中で、このような時間をとりきれていない現場が多いのも事実。だから私はコンサルタントとしてあえて、おせっかい役になろうとしています。
『そのままにしない』
これって進化していくための大前提ですしわかりやすいポイントですよね。
皆さんの中にも、そのままにしていること?ありませんか?こんなことお伝えしている自分にもたくさんあります(笑)反省。
上記でお伝えした「育てる」という副園長先生のニュアンスは、大人や親や教師の都合で子ども達をコントロールしすぎてしまう傾向が気になるということ。
子どもにすぐに解決策を与えることが良いことなのかどうか?
すぐに手を差し伸べることが良いことなのかどうか?
おそらく良かれと思って解決策を与えている方、手を差し伸べている方も多いのかもしれない。それはスポット的視点では正解なのかもしれないが、中期&長期的視点では、その子にとってマイナスになってしまうことだってある。
そんな環境の中で育った子ども達は、指示がないと動けないとか動こうとしなくなってしまう。自分の意思や考えで行動をしていくという力が弱まってしまう。それが、すでに世の中でカタチとなって表れてきているからこそのシフトチェンジが必要でないかということ。
この捉え方については、まったく私も同感です。つまり・・・
『育った環境でその人の生き様は大きく変わる』
ということですよね。その環境をどう作り、どう与えてあげられるかと真剣に考えて実行していくのが大人や親や教師の大切な役割なんだと思います。
私が、トップ&リーダー対象の研修会や講演会でお伝えしているフレーズを活用すると
『トップ&リーダーに必要な力は環境プロデュース力である』
理念・ビジョン・教育方針を定義していくというのは、
『世の中や組織内において、どんな環境を創り出すことによって何を実現するのかを決めること』
なんだと思います。そして、その基盤がしっかりしていないと上に乗っけていくものも質の高いものにつながらないと思います。
私が組織活性化や強化のベースにしている『ビジョンマネジメント』の考え方について、お伝えしてみました。現場品質が思うようにレベルアップやブラッシュアップしていかない現状に困っているトップマネジメント層の方は、そんなときこそ、原点回帰をして、自分たちの根幹について見つめ直す時間をとってみたらいかがでしょうか。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。