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失敗をしたくない症候群?? ~組織内のスタンダードオペレーションが目的化~

昨日、コンサルティング訪問先の認定こども園で園長先生とのセッション中に自分がパソコンにメモをしたフレーズを本日のブログタイトルにしてみました。

失敗をしたくない症候群  

~組織内のスタンダードオペレーションが目的化~

組織の歴史の中で、標準化(スタンダード化)された業務オペレーションに対して忠実に守ろうする姿勢・・・それが悪いということではないのですが、でも頑なにそれを守ることに必死な先生が存在する。それって雑賀さんどう思いますか?と園長先生から投げかけがありました。

そこで、私なりの答えをサマリー的に表現したのが今日のブログタイトル。

『これをやっておけば”あんぱい”であることに依存してしまう傾向の組織や人たちが増えている。』

それを最近のコンサルティング現場で相談されることもありますし、実際にその傾向を肌で感じている自分がいます。

”あんぱい”を別の言い方で表現すれば・・・

「安心」「ノーリスク」「心配がない」「無難である」「最大公約数的」

そんな感じになるのでしょうか。つまり・・・

あんぱいを選択する傾向の人たちの心の奥底にあるのは『失敗したくない』という気持ちなんだと思います。

『極度に失敗を恐れ、怒られることを回避する人が増えている』

失敗もしたくない・・・

怒られたくもない・・・

だから、自分だけが目立ってしまうような行動や言動はできるだけ避けて、まわりの人達の顔色をうかがいながら、まわりの人達の評価を気にしながらまわりに合わせることが最大のテーマになっている人達。

つまり、自分の意見や考えよりも上記のようなことを優先して仕事をしている、生活をしている人が存在していることは事実でしょう。

以前、こんな文章を紹介させてもらったことがあります。

★若者の変化を捉える★
~子どもたちや若者のコミュニケーションのあり方の劇的変化~

『最近の子どもたちは、親しい友達など”親密圏”の人間関係に異様なほど配慮し合い、その傷つきやすい人間関係をマネジメントしていくことに何よりも優先性を認め、莫大なエネルギーを注ぎ込んでいる一方で、親密圏の外部、つまり公共圏にいる人間に対してはほとんど無関心になっている』

『この親密圏の中の営みをこなすのに最も必要な能力が、コミュニケーション能力である。仲間や友達の中での序列づけも勉強やスポーツが得意か否かによってではなく、友達と一緒にいる場を盛り上げ、その関係をうまく転がしていけるようなコミュニケーション能力の高低によって決まっている。その意味でコミュニケーション能力こそが、自己肯定感の基礎になっているともいえる

『最近の子どもたちは、自らの生理的な感覚や内発的な衝動を重視するため、自己肯定感に持続的な安定性を見出すことが困難になっています。社会的な根拠によって支えられた肯定感ではないので、あいまいな気分や雰囲気によって容易に揺れ動いてしまうのです。したがって、彼らは、この不確かな自己肯定感を支えるために、身近な他者からの強力なサポートを必要とするようになっています。親密圏内の他者から自己承認を絶えず与えてもらうことによってしか、自己肯定感の安定性を保つことができなくなっているのです。』

『自分らしさの確信を得ることができないのは、たとえ錯覚かもしれないにしても、身近な他者からの自己承認によってのみです。今の若者は「社会化に対するリアリティ」を失い「まなざしを内閉化」した結果、自己の肯定感がきわめて不安定になっています。また、自己の肯定感を親密圏の他者から承認によって担保しているため、それがなくなったときに、大きな不安感にさいなまれることになります。』

『自己肯定感が不安定な若者が多い一方で、根拠なく他者を蔑視することで有能感、自己肯定感を得ている若者もいます。彼らは、勝手に他者の能力を軽視することで偽りのプライド、すなわち”仮想的有能感”を抱いて行動するのである。仮想的有能感の高い人は、何よりも自分が弱い存在だと思われたくない。例えば、学業成績が悪い、運動競技に負けたという現実があっても、率直に自分の能力や努力の足りなさを認めるというよりは、先生の指導が悪かったとか、競技場のコンディションが悪かったと自分以外の要因に帰し、自己責任を回避するものと考えられる。これをいわゆる「他責思考」と言う。』

現代は、公共圏を通らなくてもどこへでも行けるようになっている現在のようなネット環境が整う以前、時間と空間を隔てた相手とコミュニケーションをとるための手段は限られていました。ガールフレンドの自宅へ電話をかけるときに父親がでたらどうしよう・・・といった緊張感など、意中の相手とつながりあうためには、自分にとって不都合な人間とのコミュニケーションも途中で経由しなければなりませんでした。しかし、今は広大なネット空間へ開かれたケータイの小さな窓を覗き込むことで、面倒で不都合な人間とはいっさい触れ合うことなく、自分にとって心地よい相手だけと、即座に人間関係を築くことができる

上記の内容は、社会学者の土井隆義氏、教育心理学者の速水敏彦氏の著書から抜粋したメッセージです。

日々、自分よりも若い人たちと触れ合う機会は多いですが、本当にその通りだなと思います。

”仮想的有能感”という言葉が出てきていますが、まさにそれを本人が維持できなくなるきっかけになる出来事が・・・

・失敗をしてそれを自分が認めること

・誰かに怒られてしまうこと

なのでしょう。だから・・・

・なるべく失敗をするようなチャレンジは避ける

・前例がないことや経験がないこともやりたがらない

・失敗を認めず環境や他者のせいにする(他責思考)

・怒られているのにすぐに謝らない(認めない)、言い訳をしたがる・・・

なんだか、それがわかってしまうと、こちらもその人を見ていてつらくなってきますよね。だって、有能でない自分を偽るための生き方を続けていくということですから。でもその生き方で演出されている自分は偽造なわけです。だから、不安定ですし、他人に振り回されますし、ストレスも貯まる。

それをやり続けている間は、成長するための時間ではなく、偽りの自分を維持していく時間に多くを割いている。だから成長もできず、本当の自分で勝負もできない。

自己肯定感を持って、時間を味方につけている人達はその逆に・・・

・なるべくやったことないことにチャレンジする。

・失敗を認めすぐに反省して次に活かす。(自責思考とリカバリーフォーカス)

・言い訳をせず、すぐに謝って過去を引きずらない。

・失敗をした分成長できるし、怒られた分だけ学ぶ機会を得ていると考える。

つまり、 『失敗も怒られることもポジティブに捉えている』

これは、自己肯定感が成せる思考ということになるでしょう。

『偽りのプライド=仮想的有能感』

最近の重要なキーワードだと思います。

仮想的有能感が蔓延している組織や地域や世の中は、不安定で、軸がなくて、ストレスフルで・・・ちょっと厄介ですよね。これは解決していかなければならないでしょう。

そんな背景の中で、昨日の現場実態からの園長先生の嘆きを私なりに要約したエッセンスフレーズ。

失敗をしたくない症候群  ~組織内のスタンダードオペレーションが目的化~

これって、少なからず多くの組織やチームで起きている1つの特徴的傾向だと思っています。そんなことが起きている理由はどんなことなのか?という観点で今日のブログを書いてみました。

『不確かな自己肯定感、不安定な自己肯定感』

これを、確かで安定している自己肯定感に変えていくには、幼児教育&家庭教育がかなり重要であり、大きな影響因子になっているだろうなと思います。

皆さんはこの社会的な傾向についてどう思い、どう考えますか?

お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。

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