成功体験の逆襲!!人や組織のポジティブな変化を阻む要因? ~保守化バイアス&サンクコスト効果の罠~
- 2025.09.24
- 園トータルサポートCONSULTINGPERSONAL COACHING
今日から2泊3日の関西出張。
継続的に10年以上コンサルティングサポートをさせてもらっている保育園。
本日、17時から19時までの全体研修でも職員の方々にお伝えしたのですが、園長先生が私の著書を読んでご連絡をいただき、コンサルティングのご依頼を受けて初めて訪問したときの園児数が50名程度。
それから改革を続けて現在は90名まで園児数が増加して、地域一番園の座を維持し続けています。そして、『認定こども園化』への準備も着々と進行中。
私が提言し続けている、園の未来コンセプト
『地域の教育総合コミュニティ施設化』
に向けて、ただの認定こども園化というレベルではない展開プランをカタチにすべく、更なる付加価値追求へのチャレンジを進めていくステージにあり、私としては弊社のビジョンでもある
『POWER &VALUE of LIFE ~世の中にプラスの力と新しい価値を創造する』
を実現していく1つの最新モデルにつなげていくプロジェクトとして捉えています。
ベース機能となる認定こども園に加えて、段階的に地域の子育て支援機能や教育機能を拡充していくイメージですかね。
こちらの、園が地域一番園となり、そして更なる進化を進めていけるのは、園長先生が、現状に甘んじることなく、常に危機感を持って進化していくことを大切にされているからこそだと感じています。
職業柄、組織でも個人でも良い方向に進化、改革、改善していくためのサポート役になることを求められているわけですが、こちらの園のように良い方向に着実に進化し続けることができればよいのですが、実際にはなかなか上手く進んでいかないこともしばしば・・・
①自ら主体的にどんどん変化&進化していける人もいる
②誰かに後押しされたり、アドバイスをもらいながら、少しずつ変化&進化していく人もいる
③変化&進化するチャンスは与えられているけれど、なかなか変われない人もいる
④変わる必要がない、自分が絶対正しいと思い込んで、相手を否定し続ける人もいる
コンサルティングやコーチングの現場では、上記のようなレベル幅がある様々な人達と遭遇します。
①②の人達の割合が多い組織であれば、そんなに苦労することもないのですが、実際には、①②③④の人達が入り混じりながら構成されている組織も多いように感じています。
皆さんのまわりの人達から感じる感覚はいかがでしょうか。
ある一定の幅の中ではもちろん変化しているのですが、その人がその立場で求められている領域まで広めた変化という意味では物足りない人が多かったりしませんか??
実は、上記のような相談は、組織やチームのトップからいただくことがとても多いのです。
そこで、今日のキーワードの1つ目は・・・
『保守化バイアス』
保守化バイアスとは、
『新しい情報や証拠(事実)や提案を出されても、自分の信念や考え方ややり方を修正することなく、自分の考えに固執してしまう考え方』
と言ったらわかりやすいでしょうか。
まあ、わかりやすい例で言えば、年配の方々が『最近の若者は・・・』『自分達の若い頃はもっと・・・』といった言動をすることがありますが、これがまさに”保守化バイアス”なんですよね。
自分達が生きてきた時代がすべてでありベストであるという根拠のない思い込みの中で、情報がタイムリーにアップデートされていない人が陥るパターンの典型例。
過去の栄光にすがってしまう人や、その時たまたま上手くいった方法を固く信じていて、それを相手に押し付ける人などもいますが、そういう人ほど『保守化バイアス』が脳の中に広がっている傾向が強いわけです。
かつての上司に、このような状態に陥る現象を・・・
『成功体験の逆襲』という言葉で習いました。
世の中がスピーディーに変化している中で、かつてうまくいった方法が、今もそのままうまくいくわけではないし、過去にすがって生きていく限界性をメッセージ化したわかりやすいフレーズですよね。
組織内の事例で言えば、
『うちの組織ではこういうやり方でやってきているので・・・』
『うちの組織ではこれがルールとされているので・・・』
といった言葉が頻繁に登場する場合は、管理者レベルにいる人間が”保守化バイアス”に侵されている危険性が高いでしょうね。
勘違いしないでほしいのは、保守的傾向が完全に悪いということではなく、自分の考えややり方に固執しすぎる傾向はよろしくないという話。
もう1つプラスしてお伝えしたいキーワードが・・・
『サンクコスト効果』
これも心理バイアスの1つで、個人や組織の進化、改革、改善の壁になっているパターンが多いですかね。
『自分自身が信じてコツコツと積み上げてきたことがもし間違いだと判明しても、それまでかけてきたコストが無駄になることを恐れて、現時点の行動を正当化しようとする脳の働き。』
保守化バイアスと並んで、人や組織のポジティブな変化を阻む要因になっているものでしょう。
自分の過去の苦労や努力を否定したくない気持ちはわからなくもないですが、これもそこに固執してしまうとよい方向に進化していけないということですよね。
相談対応している現場で、こんなメッセージを発信する方々がいます・・・
『私はこのやり方でやってきたので・・・』
『私たちは、これを乗り越えて成長することができたから・・・』
・・・の部分には、若い人達も同じようにやってほしい、乗り越えてほしいという願いが。
願いはわかりますが、その時自分達は、どんな気持ちでやっていたのか?ネガティブな気持ちのときもあったんじゃないの?それを、同じように求めるんですか?
自分にとって、相手にとってそれがあまりポジティブでなくメリットがないとわかっていても、冷静な第三者から見るととても理不尽な選択であったとしてもそれを正当化し、過去の自分にしがみつき続けてしまう人、意地で自分の意見を無意識に押し通そうとしてしまう人が存在する。
まさに『サンクコスト効果』の罠にはまっている状態です。
では、そんな罠から抜け出して、進化、改革、改善のスピードを高めていくためには何が必要なのか?
主に以下の2つがその罠から抜け出していくためのポイントではないでしょうか。
ポイント①
『新しいモノ、ジャンル、カテゴリーに触れる頻度を高める』
ポイント②『自分自身がそのバイアスの影響を受けているということを自覚する』
ポイント①は、このブログでもいろいろな言い回しで私がお伝えしてきていることになります。
『人に会う、旅をする、本を読む』
『新しい体験と知識が人を成長させる』
『異から学ぶ』
『師を持ち、師を更新し続ける』 などなど
少なくとも、特定の人、物、媒体、場所、職業、職場だけの接点だけに固執していると罠にはまりやすくなるということですよね。不特定多数の接点を自分に課すことが大切です。
ポイント②も大切で、保守化バイアスやサンクコスト効果の罠から抜け出せない人の大きな特徴は、そんな自分を自覚できていないことにあります。①と②は連動性があって、特定と固執の生活シーンの中で、人間に起こりやすいのは・・・
『視点や視野の収縮化』と『脳の短絡化』
そうなってしまうリスクヘッジとしてより多くの接点を増やそうと自覚できていたら、罠にはまりにくいのですが、そもそもそんな感覚がなくて、特定と固執の生活に自分が埋没してしまうと、視点や視野がある一定レベルの幅以上にはならないし、アイデアやクリエイティブの幅や深さも確実に狭く浅くなっていく。
だって、新しい情報や考え方がインプットされないですし、アップデートされていかないから当たり前ですよね~。この当たり前の事実に対する自覚を持つことが大切なんでしょうね。
今日は、進化している組織のコンサルティング現場とは裏腹に、日々の仕事現場やプライベートシーンでも感じている進化、改革、改善の壁になっている人間や組織のバイアスについて、自分なりの見解をお伝えしてみました。
お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。