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なぜ「家族園」という未来コンセプトが重要なのか? ~育った環境でその人の生きざまは大きく変わる~

週明けからの1泊2日の関西出張から昨晩帰ってきました。

新年度がスタートしてちょっと経過したこのタイミング。

例年の傾向ではありますが、新しい環境での人間関係やら、新たに求められる業務内容に少々精神的な負荷がかかり、心がちょっと悲鳴を上げてしまった人達に関する各組織からの相談が増えます。

同じ空間と環境に身を置いていても、何も感じない人もいれば、程よい緊張感と感じる人もいれば、ハイプレッシャーと感じて精神崩壊してしまう人もいる。誰が悪いわけではないんですが、この時期はこれらの差異が表面化しやすい時期なのでしょう。

今朝もLINEに目を向けると、コンサルティング先の幹部の方から、精神的負荷により、出勤できるか否か心配していた先生が、ちゃんと出勤してきました・・・とのご報告あり。ちょっとひと安心ですね。

さて、今日はそんな背景にもなっているのかなという『育ちの環境問題』についてお伝えしたいと思います。

子どもに大切なのは『余白』

頭がいっぱいになったら考えられないし新しいものが入らない・・・

そんなコメントをかつて見たテレビで安東忠雄さんが語っていました。

そして、日本が見直すべき価値観という話の中で、志高き日本人としての自覚を持つことが必要であること。そして、相手やまわりに合わせることよりも”自分は自分の道を行く”という 人間が増えれば、日本はもっと元気になる・・・

といったような話もされていました。

自分も幼児教育の現場で仕事をする時間が多いわけですが、このようなお話にはアンテナが敏感に反応しますね。

『余白』とは何か?

子どもが自分で考える余地を残してあげることだと思うのです。

その子がわからないから、泣いているから、駄々をこねているから・・・そこで短絡的に、子どもにすぐに解決策を与えることが良いことなのかどうか??すぐに手を差し伸べることが良いことなのかどうか??

それこそ、子どもが自分で考える時間問題解決をしようと自助努力する時間、つまり、子どもにとっての重要な『余白』を奪い去っていることになるということでしょう。

その場はクリア―できますが、自分で考えて何かを乗り越える経験や体験にはつながらない・・・つまり、その時間は経過でしかなく、学びの時間につながらない

詰め込み教育? 偏差値教育? そんな教育風土の弊害として、『何かを問うことよりも、答えを出すことを優先する』というスタイルが身についてしまっている方を見かけることが多いような気がします。

もちろん、答えを出すことも重要なのですが、そんなスタイルに固執してしまっていると、自分の中で答えが見えないものに対してはチャレンジできない、行動を起こせない人が増えてしまうように思います。

私はそれを『フリーズする』という表現でお伝えしています。

何かの問題や課題や壁にぶち当たることは生きていればいくらでもありますよね。そんなときに自分で考えて進むべき道を模索しながらちょっとでもいいから前進していける人なのか、その場に立ちすくんでフリーズしてしまう人なのか・・・

社会に出たら、問題解決能力のレベルが高い人なのか低い人なのかがまわりから信頼される大きなポイントになることは言うまでもありません。

先日も、人気園の現状診断で行った保護者アンケートの中で、『将来我が子にどのような人になってもらいたいか?』という質問に対して、『自分で考えて行動できる人』という回答が多くの保護者から出ていました。

ヘリコプターペアレンツカーリングペアレンツという言葉がありますが、その意味合いは以下のようなもの。

『ヘリコプターペアレンツとは』
自分の子が傷ついたり、困難にぶつかったりすることを嫌い、失敗から守ろうとするあまり、子どもにつきまとい続けること。親が常に子どもを観察し続ける姿が、ヘリコプターがホバリングしている様子に似ていることが由来。

『カーリングペアレンツとは』
スポーツ・カーリングでは氷の上の“ストーン”ができるだけスムーズに進むように、ブラシで道をならす姿から、子どもが進む道をならしてしまう親に例えている。「親が先回りして、スムーズで通りやすい道を整えておく」というのが由来。

まあ、二つともほぼ同義だと思うのですが、そんなフレーズを活用しながら、私が保護者向けの講演会などでよくお話しするのですが・・・

①過保護すぎる親

②すべてのお膳立てをする親

③子どもに集中しすぎて子どもに自分の人生を捧げてしまっているような親

④自分のコンプレックスを子どもで解決しようとする親

そんな親が増加傾向であり、そういう親の子どもは他人依存度が高くなり、自分で考えて問題を解決していくというスタンスが育たないまま大人になっていく。

過保護(ヘリコプター)ですべてお膳立て(カーリング)するということは、ある意味子どもに”余白を与えない”ということでもありますよね。その子になるべく失敗させたくないという想いはわからなくもないのですが、自分の経験則を振り返ればわかるように、

『人は失敗から学ぶことも多い』わけです。

人生の成長プロセスで起こる失敗体験も必要であり、必然であるというスタンスをまわりの大人がちゃんとわかっていて、そんな環境も余白とともに子ども達に与えてあげる必要性を理解しておくことも重要ではないでしょうか。もちろん、さじ加減は調整して、いざという時にはちゃんと手を差し伸べるということも大切です。

先日、サッカー日本代表の元監督であり、今は学校経営もされている岡田武史さんが語っていたのですが、親は子供にとっての「最後のセーフティーネット」であるべきだと・・・

私的には、それを『絶対的安全地帯』と表現しています。

その子にとって、絶対的な味方がいることで安全がしっかり確保されていれば、たとえ大きな壁にぶち当たっったとしても踏ん張れる人間になるということ。

そのセーフティーネットが担保された状態を前提としながら、小さいときに、自分のまわりに降りかかる数多くの問題に対して、自分で考えて自力で克服する体験をさせてあげることが重要だと思います。もちろん、大人やまわりの人達のサポートが必要かもしれませんが、サポートの仕方を間違えないようにしたいものです。

26歳の時、世界初の単独無寄港ヨット世界一周というとてつもないことを成し遂げた日本が世界に誇る海洋冒険家の白石康次郎さんは・・・

小学校に入学したときに、母親を亡くし、父親と明治生まれのおばあちゃんに育てられたそうです。そこで、父親からよく言われていた言葉は・・・

「勉強するかしないかは自分で決めろ、
 但し将来、勉強していなくて困っても
他人のせいにするな!!」

そして、白石家のルールは「すべて自分で決めること」だったそうです。

つまり、白石家の子ども達の頭の中は『余白』だらけだったわけですよね。

その大きな余白の中で考えた将来の夢・・・鎌倉の海を見ながら思いついたこと、それがヨットで世界一周することだったのです。

もし、白石家の方針がそうではなく、詰め込みで親がすべて決めていたら・・確実に日本が世界に誇る『白石康次郎』という人間は存在しなかったことでしょう。

 そんな白石さんの言葉・・・

 世の中のすべては変化する(それを受け入れることが重要)
 すべてを受け入れるとは、すべて自分の責任だと思うことである。
 苦しみから逃げることはできない。
 しかし苦しみを苦しみでなくすることはできる。
 すべては自分の心の在り方で決まる。 

これ自分の中で大切にしている言葉です。

『余白』の中に成長のチャンスがある!! 

まさに白石さんの生きざまがそれを証明していますよね。

結局何が言いたいかということ・・・

『育った環境でその人の生きざまは大きく変わる』

ということ。その環境の質を決めている因子として大きいのがその人の”親”&”家族”だと思っています。ヘリコプターやカーリングの傾向が強いのか、それとも絶対的安全地帯を担保しながら、余白をどんどん与える環境を提供してあげているのか?

その差は各家庭環境で大きいと思いますし、子ども達はそれを自分ではセレクトできないのですから、親の責任や役割は重大だと思っています。つまり、どんな家族環境の中で育ったかで子ども達の未来は大きく変わっていくということ。

だから、私は10年以上前から、幼稚園や保育園やこども園の未来コンセプトの1つとして

『家族園』という表現をさせてもらっています。

子ども達がより良く成長していくためには親も家族も一緒にレベルアップしていく必要を強く感じているからに他なりません。だから、その園とつながることで、家族全体が成長できるような園づくりをしていくことに大きな価値があると思いますね~

それが、日本の未来がより良くなっていくための社会の本質的なニーズとそのニーズに対するあるべき姿だと考えています。

『大人が変われば子どもが変わる、子どもが変われば未来が変わる』

ということですよね!!

お読みいただいた方の何かのヒントと未来のハッピーに少しでもつながれば幸いです。

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2024-04-05 11:31
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